何某日和

「カメラ」のち「ハンダゴテ」ところにより「プログラミング」 ── そんな私“かめきち”のウェブサイト

「スパゲッティ」と「スパゲッティプログラム」

目次

スパゲッティのピンからキリまで

 本研究では、研究題材として「スパゲッティ」を扱います。そのため、必要最低限の知識・教養を身につけるべく、スパゲッティ(及びパスタ)に関する調査を執り行いました。 (本項はその調査ログに相当します。) 「スパゲッティ」という一言で済ませるには忍びないほど、ピンからキリまで奥深い「スパゲッティ」。普段はあまり気に掛けないスパゲッティの様々な容姿を垣間見てゆきます。 なお、本項は参考文献[3]及び参考文献[4]に基づいて構成しています。

スパゲッティとは

 子供の好きな食べもの「スパゲッティ」、おしゃれなイタリアンレストランで味わう大人の嗜み「スパゲッティ」 ── 前文が真実か否かは分かりませんが、とかく老いも若きも幅広い年代層に受け入れられている「スパゲッティ」。 これがイタリア料理の代表格「パスタ」の一種であるということも、また言わずと知れたことだと思います。

 さて、いきなりですが、「パスタ」という言葉に対してどのような像を思い浮かべるでしょう。 もちろん先に挙げたスパゲッティもそうですし、マカロニサラダでおなじみのペンネやコンキリエ、あるいは、生地とソースを重ね合わせて作ったラザニアを脳裏に描かれたやもしれません。 想像する通りパスタの形状は実に多様で、読んだ話[1]によると「500種類以上」あるとも言われているそうです。 これだけでも多少の奥深さを感じますが、パスタの真髄はこれに留まりません。 後にも述べますが、パスタはその形状の違いだけではなく、地域、文化、製造方法などについても同じく様々な違いがあり、あのシンプルな容姿からは想像できないほどの多様性を含んでいるのです。

パスタのクラス図(ショートパスタ、ロングパスタ、スモールパスタ) パスタのクラス図(北イタリアのパスタ、南イタリアのパスタ) パスタのクラス図(乾燥パスタ、生パスタ、手打ちパスタ)

 まさに「一言では語り尽くせないパスタ」なのですが、ところで、その中の「スパゲッティ」がどういった位置付けなのかをご存知でしょうか。 ここでは形状に基づいた分類(上記3つの図のうち一番左の図)を追うことにします。まず、ロングパスタを更に細かく見ると...

太さ名称由来[2]
約1.0mmカペッリ・ダンジェロ(Capelli d'angelo)天使の髪
約1.0-1.2mmカペッリーニ(Capellini)髪の毛
約1.2-1.4mmフェデリーニ(Fedelini)
約1.4-1.6mmスパゲッティーニ(Spaghettini)細いスパゲッティ
約1.6-1.9mmスパゲッティ(Spaghetti)細いひも
約2.0-2.5mmヴェルミチェッリ(Vermicelli)小さい芋虫
約2.0-2.5mmブカティーニ(Bucatini)
約5-8mmツィーティ(Ziti)夫婦(?)
約2mm(板)タリオリーニ(Tagliolini)切る
約8mm(板)タリアテッレ(Tagliatelle)切る
約10mm(板)フェットゥッチーネ(Fettuccine)小さなリボン
約20mm(板)パッパルデッレ(Pappardelle)食いしん坊

これら以外にも種類があり、またこれらの別名もあり、地方によって呼び名が変わり、名前の付け方はメーカー毎に異なっていたり...と、とかくややこしいのがイタリアのパスタ事情。 地方の呼び名に至っては、当のイタリア人でさえサッパリわからないこともあるのだとか。

 さて、当のスパゲッティは...というと、棒状のロングパスタで言えば中間層に位置するようです。 本研究のために実施した「スパゲッティに関するアンケート調査1」の結果から得られた「普段使うスパゲッティの太さ」の中央値は1.6mm。 多くの人が1.6mm、即ちスパゲッティを食しているということです。それに、参考文献[4]からの引用ですが、

そんなわけで依然北イタリアの伝統といえば生パスタで、南部では、乾燥パスタの中でももっとも生産量の多かった、スパゲッティが伝統なのである。

本場のイタリアにおいても、乾燥パスタの中ではスパゲッティの生産量が多かったというのです。やはり適度な太さを持つものがよく使われるのでしょうか。

 いかがでしょう。パスタの奥深さを体感すると共に、スパゲッティの位置取りを掴むことができたでしょうか。


[1] イタリア・パスタおいしい物語 ─ 鈴木 奈月(参考文献[4]

[2] 複数の文献より引用しています。 カペッリーニはWikipedia(カペッリーニ)より。 ブカティーニはWikipedia(ブカティーニ)より。 タリオリーニ、タリアテッレはWikipedia(Tagliatelle)より。 ツィーティはWikipedia(Ziti)より。 フェットゥッチーネはWikipedia(Fettuccine)より。 パッパルデッレはWikipedia(パッパルデッレ)より。 それ以外は、参考文献[3]及び参考文献[4]によります。

雑学(歴史、地域性、法律、ゆで方)

 この節では、スパゲッティに関する雑学について記載しています。 歴史地域性法律ゆで方の4つをお送りします。


 スパゲッティの発生から現在に至るまでの「歴史」を、文献を基に簡単にまとめておきます。
時代を遡れば、その起源の一と考えられている中国が登場します。 紀元3世紀に始まったとされる中国の麺文化ですが、そのむかしから大豆粉製のタリアテッレやスパゲッティのようなものを食べていたと言います。 また、古代ギリシャ人が小麦粉をスープでこねたもの「マカリア」から、マカロニに似たものを作っていたとかで、それが起源だ...とする説もあれば、 マカロニの語源がラテン語のマッカス(そら豆を潰して練ったもの)やマッカレ(水と粉を練り合わせる意)だとして、ローマ人がその発明者だという人もいるらしく。 どうにも、話が定まらないその起源ですが、とかく、大昔から粉を練って食す文化があったということは確かなようですね。

 北イタリアに見られるポレンタ(とうもろこし粉を練ったもの)の祖先と言われる、粥状のプルス(小麦粉+水+火)というものがあり、 古代ローマ人はこれに様々な材料を合わせて料理のバリエーションを広げていたようです。 ローマ時代にはパスタを焼いたり揚げたり、また中世には生のままスープの具にしたり、茹でてソースで和えるように。 形状や調理法も多様化した13-14世紀頃、ようやくイタリアにパスタが普及し始めたといいます。(ラビオリなどが生まれたのもこの時期。) この頃はまだ、主婦や料理人が作るもので、足で踏みながら生地をこねていたようです。14世紀には職人による製造が始まり、パスタ業者の組合も組織されたほど。 また16世紀には「青銅製のらせん付き圧力機」というものが登場し、広く使われることになります。 ただ、これはまだ人力に頼る機械だっただめ、18世紀の産業革命の頃合いに、蒸気機関を経て電動機に変遷していったのです。 その後も改良が重ねられ、それまで天日干しだったパスタの乾燥も人工乾燥設備により置換(サン・マルティーノのパスタ工場経営者ディ・チェッコによる!!)。 さらには製造のあらゆる工程の自動化にも成功し、現在に至ります。 南イタリアにおける「おふくろの味」は、肉じゃがならぬ、トマトソースのシンプル・スパゲッティ。 食欲・体調がすぐれない時にはスモールパスタ入り溶き卵スープ。 赤ん坊の離乳食にさえパスタ(スモールパスタ)...。 もはやイタリア人の生活の中心はパスタだと言っても過言ではないような気がします。


 次に「地域性」について。
先の分類にも登場した「乾燥パスタ」の製造には、さんさんと輝く太陽・ヴェスヴィオ山から吹きおろす乾いた熱い風・地中海を渡ってくる湿った海風 の3つが必要だと言われ、 ちょうど南イタリアの気候がこれに合致していました。また、原料となるデュラム小麦は北イタリアの寒い気候には適さず、南イタリアが中心となって栽培していたと言います。 そんなこともあって、南イタリアには早くから乾燥パスタが浸透したようです。デュラム小麦を栽培できない北イタリアは、コシの弱い軟質小麦に卵を入れることで代用し、 卵入りパスタが誕生することになりました。

こうした背景があるため、北部はラザニアやラビオリなどの手打ちパスタが多く、南部はスパゲッティやマカロニなどの乾燥パスタが多いのです。 文献[4]を読んでみるとわかるのですが、同じパスタにも地方によって異なった呼称が付いていたり、 その地方の近隣諸国から影響を受けたソースがあったり、と、スパゲッティ・パスタが地域性の面でも多様であることが窺い知れます。


「スパゲッティ・パスタの国」とも言えるイタリアですが、実は、パスタ製造に関する法律まで存在するというのです。
まず、100%純正のデュラム小麦を使うこと。また、卵入りパスタはセモリナ粉100gに対して全卵5個以上が含まれていなければならない、など。 かつての組合でも「青銅製のらせん付き圧力機」の使用が義務とされていたほど。

さらにもう一つ、人工着色料や保存料を添加してはならないという条件があります。 黄金色のパスタの他にも、様々な色のバリエーション(カラーパスタ)があるのですが、その原材料も全て自然食品を用いているのです。(後の材料の項目で詳細を述べます。)

食卓に彩りを与えてくれるパスタ。その彩りとともに、品質で幸福と笑顔をもたらすイタリアのパスタ。 イタリアの彼らが抱く「パスタへの職人意識」には、ただただ脱帽です。


 雑学の最後に、スパゲッティ・パスタのゆで方について。
よく「アル・デンテの状態にする」などと表現しますが、このアル・デンテ(al dente)はイタリア語で「歯応えのある」という意味を持っています。 そのアル・デンテにするコツは以下のとおり...

  1. 鍋は深めの大きなもの、湯はたっぷり、グラグラと沸騰させておく。
  2. 必ず塩を加え、塩分でパスタを引き締める。(また、塩味を付ける。)
  3. 火力は強火。水面が泡立ち、湯の中でパスタが揺れるくらいが良し。
  4. 標準ゆで時間より早めに1本引き上げ、爪で切るor食べることで、茹で具合を必ず確認する。

 スパゲッティのパッケージには「標準ゆで時間」などの表示がありますが、これはあくまで目安に過ぎず、 その場で直接茹で具合を確認することが望ましいのです。本位は時間にあらず、その食感にあり!

 ただし、料理によっては例外もあります。例えばソースの味をパスタによく染み込ませたい場合は、 標準湯で時間の半分程度で引き上げ、固めに茹でておきます。次に和えるソースで茹でなおすようにすると良いそうです。 また、冷製パスタにする場合はこの逆で、標準ゆで時間より1-2分は多く見積り、芯を残さないよう(アル・デンテではなくなる状態まで)完全に茹で上げます。 その後すぐに氷水や冷水に浸して、パスタを締めます。仕上げにパスタ表面に付着している水分を切っておくと、ソースがうまく絡むそう。

 大切なのは、食べる瞬間にアル・デンテの状態であること。ソースの種類や、冷製か否かなど、様々な条件を加味して、口に入れるその時にアル・デンテになるよう茹で上げるのです。 簡単にできることではないですが、パスタ調理の際には念頭に置いておきたいものです。

製造(メーカー、材料、製造過程)

 この節では、スパゲッティの製造にまつわる事項について、 メーカー材料製造過程という3つのテーマで記載します。


 パスタのメーカー(もしくは銘柄)について、日本国内の店頭で売られているもの(私が目にしたもの)を中心とした一覧です。 社名がリンクになっているものは、そのメーカーのウェブサイトを指しています。 (英字表記には本家サイトを、仮名表記には日本語サイトを、見つからなければ輸入元をリンクしています。)

イタリア製 日本製

さすが本場イタリアは規模が違います。イタリア版Wikipediaのパスタメーカーの項目を見ると、その最下部にはパスタメーカーが列挙されています。(例:http://it.wikipedia.org/wiki/Barilla) 日本のパスタメーカーに関しては、日本パスタ協会に詳しいでしょう。(日本パスタ協会 - 加盟企業紹介:http://www.pasta.or.jp/association/company/index.html

イタリアにおけるパスタのシェアNo.1はバリラ社で、No.2はディ・チェコ社とのこと。 また、調査範囲は非常に限定的ですが、「スパゲッティに関するアンケート調査1」では、マ・マーのシェアがNo.1でした。


 簡単に言えば、小麦粉と水さえあれば作ることができるパスタですが、ここではその材料について詳しく見てゆこうと思います。
原材料の小麦粉。その種類を見ると、薄力粉、強力粉の他に、デュラム小麦のセモリナ粉があります。 他にも「ポレンタ」というパスタはトウモロコシの粉で、「ピッツォッケリ」はそば粉で作られていたりして様々ですが、今回は小麦粉に注目します。 先に挙げた3種類の小麦粉、一体何が違うのかというと「タンパク質の含有量」がそれぞれで異なるのです。 タンパク質に水を加えて練ると、ゴムのような粘弾性を持つ「グルテン」に変化しますが、実はこれがパスタのコシを左右するものなのです。 そのため、パスタ作りの際には小麦粉の種類が重要になるのです。 タンパク質は、薄力粉よりも強力粉に多く含まれ、また強力粉よりもセモリナ粉に多く含まれます[3]。 そのため、よりコシを生みやすい「デュラム小麦のセモリナ粉」をパスタの原材料として使用するのです。 家庭で作る手打ちパスタ(タリアテッレなど)の場合は薄力粉に卵を入れて練ったりしますが、薄力粉ゆえに粘弾性は劣るようで。 しかし、薄力粉に多く含まれるデンプン質のため、風味の良いパスタになるそうです。

バリラ 1.7mm の「デュラム小麦のセモリナ」 ガロファロ フェットチーネ の「デュラム小麦のセモリナ」 ディ・チェコ 1.6mm の「デュラム小麦のセモリナ」 マ・マー 1.8mm の「デュラム小麦のセモリナ」

先の法律でも触れましたが、カラーパスタの色素も自然食品を用いていたのでした。 黄(サフラン、かぼちゃ)、淡赤(トマト)、赤紫(ビーツ(赤かぶ))、緑(ホウレンソウ)、茶(きのこ)など。

サフラン、かぼちゃ
淡赤トマト
赤紫ビーツ(赤かぶ)
ホウレンソウ
きのこ

 日清製粉により輸入されているイタリアのディ・チェコ社製パスタにおいては、その紹介文に「マイエッラ公園の山から湧き出る冷水とのミキシング」がどうとか。 さらに片岡物産が輸入するイタリアのジュゼッペ コッコ社製パスタは「品質の良い小麦粉と天然の湧き水で練り上げた生地を...」と謳っています。 材料と言って良いかわかりませんが、水にも違いがあるのやもしれません。


 パスタ(特にスパゲッティなどのロングパスタ)製造の工程について記載します。 日本パスタ協会のページ[4]を参考にしています。

【原料】
 これは上に述べた通り、小麦粉、水、練り合わせる材料です。この材料自体の品質がパスタの品質に直結します。
【混練】
 先の原料を混ぜて練ります。
【押出成型】
 型を通すことで様々な太さや形のパスタができあがります。ここで用いる型がブロンズ製なのかテフロン製なのかによって、できあがるパスタの特徴が決まるようです。 例えばブロンズダイスならパスタの表面にざらつきが生まれ、パスタソースとの絡みが良くなるとか。テフロンダイスならそうしたざらつきがなく、表面がツルツルしたパスタになるよう。 ちなみにバリラ社やマ・マーはテフロン[5][6]、 ディ・チェコ社はブロンズ[7]を用いています。
【乾燥】
 型を通したできたてのパスタを乾燥させますが、低温でじっくり時間をかけて乾燥させるのか、高温でさっと乾燥させるのか、そうした温度の条件もまた大切な要素の一つになるようです。[8]
【製品】
 パッケージに包んで店舗に出荷します。


[3] Wikipedia - 小麦粉#セモリナ粉 http://ja.wikipedia.org/wiki/小麦粉#セモリナ粉

[4] 日本パスタ協会 - パスタに関する基礎知識 http://www.pasta.or.jp/content/basic/index.html

[5] Wikipedia - バリラ http://ja.wikipedia.org/wiki/バリラ

[6] パスタの上手な選び方・使い方 - 日清製粉グループ http://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/pasta_02.html

[7] ディ・チェコ ディ フィリッポ 1.8mm のパッケージ裏面に記載。「...表面のザラツキを生み出すブロンズダイス、...」 また、ガロファロ フェットチーネ のパッケージの裏面に記載。「伝統的なブロンズダイスから作られるパスタは表面にざらつきがあり、ソースとよく絡みます。」

[8] 日清製粉のページ(5.乾燥する - 日清製粉グループ)より引用すると、

乾燥工程に時間をかけるのは、ゆっくり、じっくりと水分を抜いていくことで、ひび割れのない、透明感のあるパスタに仕上げるため。パスタの色や香り、固さも、この乾燥の技術がポイントになっています。乾燥するときの温度や湿度、時間によって、パスタの品質が異なってくるというわけです。

とのこと。

ピンからキリまで

 いかがでしょう。「スパゲッティ」という食材の織り成す世界が、どれほど広いものかを実感いただけたのではないでしょうか。 名称、太さ、地域性、品質(メーカー、材料、製造法など)や調理(ゆで時間、塩加減、ソースなど)などなど、その側面は本当に様々。 そのうちの何か一つ異なるだけで麺の性質が変貌する、とても表情豊かな食材が、この「スパゲッティ」なのです。
 また、これら言葉の上に留まるのではなく実際に食してみて、その品質・特徴の違いを比べてきました。(研究企画 パスタを食べる!にて記録。) そして、それまで意識したこともなかった「違い」を知って、パスタの魅力に取り憑かれてしまったほどです...(「研究だ」とは言いつつ、非常に楽しみながらパスタ生活を送っています。)

 しかしながら、以前に実施した「スパゲッティに関するアンケート調査1」では、 実に約7.5割の方が「マ・マーのスパゲッティを用いている」と回答、さらに約1.5割の方は「わからない」と回答。 あまりにも多くの人が、食卓の「スパゲッティ」に対して関心が薄いという実情が見えてきました。 この研究を始める前の私も全く同じだったとは言え、少しはパスタの世界を垣間見た身です、この事実はとても残念でなりません。 ピンからキリまで様々な「スパゲッティ・パスタの世界」を、さらに多くの方に知っていただけることを願ってやみません。

スパゲッティの指標

(スパゲッティにはどのような性質(指標)があり、どのような情報(計測結果)が得られるかについて検討する。)

  • 品質(銘柄、材料、製造法、etc.)
  • メーカー(バリラのスパはプリプリ感らしい。 http://plaza.rakuten.co.jp/tomoyalovely/diary/200909020001)
  • ゆで時間
  • 作り置き時間
  • 食感、コシ(腰)、歯応え、弾力感
  • 腰 := (5)(「腰の力」の意)弾力・粘りなど。「─の強い餅」(via 広辞苑 第五版 岩波書店)
  • 歯応え := (1)物をかむとき、かたくて歯に抵抗を感ずること。「─があって、うまい」(via 広辞苑 第五版 岩波書店)
  • 太さ:熱容量の違い。太いと多い。細いと少ない。熱を保持するか、すぐに逃がすか。切れにくいか、切れやすいか。
  • 色、長さ、形状
  • ソースの種類
  • ソース・料理の名前:「トマトソース」と表現するか「サルサ・ポモドーロ」と表現するか。印象が随分と変わるはず。
  • 値段
  • 風味・香り、味、塩加減
  • 芯の残り方、粉っぽさ
  • もつれ具合(ソースを伴う)
  • 麺の種類(乾燥パスタ、生パスタ、手打ちパスタ、工業生産パスタ)(分類は文献[4]より)
  • 製造法・種類
    • 乾燥パスタ:家庭からレストランまで。とかく普及品。尋常で一般的なプログラム。
    • 生パスタ:モチっとした食感で心を掴み流行るかもしれない。日持ちしない。短命。流行りもの。
    • 手打ちパスタ:作るたびに異なった性質が現れる。動作不定、不安定。良くも悪くも気持ちが込められている。
    • 工業生産パスタ:安定的。機械的。一定。メーカー(材料・製造法)による。

    普通は乾燥パスタで表現され、ある特定の指標値を出したものは生・手打ち・工業生産などに変化するなど。 現在の乾燥パスタは始めから終わりまで工場生産。初期の乾燥パスタは手打ち乾燥パスタ。

  • ゆで上がった時にバターを絡める
    • 劣化しやすいものはバターなし。乾燥しやすい。すぐにダメになる。(OSのバージョンが上がると動かない、とか)
    • 劣化しにくいものはバターあり。水分を保持し、ぱさつくのも遅い。

「スパゲッティプログラム」という言葉

 スパゲッティプログラム(またはスパゲッティコード)という言葉がありますが、ここではその言葉の是非について言及します。

その言葉の歴史

 「スパゲッティプログラム」という言葉の発生については、別項『プログラムの性質とその計測 - 「プログラム」の古今』をご覧下さい。

 ごく簡単にまとめておきます。利用できる環境の貧弱さによって保守性よりも効率性が求められていた時期、プログラムに構造を与えず、効率化のためのgoto文が頻出していました。 規模の小さい開発のうちはまだ職人技で手に負えたのですが、やがてシステムの規模が肥大化する中で、職人の手にも負えなくなってしまいました。 こうして、保守が極めて困難なプログラム「スパゲッティプログラム」が発生したのです。

その言葉と現代

 現在、「スパゲッティプログラム」という言葉がどのような意味で用いられているのかについて簡単にまとめておきます。

しかし、機能を加えていくに従い、「プログラム全体を見渡して必要な変更を加えること」が次第に難しくなり、作業効率が落ちていく。 しまいには手もつけられないぐらい複雑に絡み合ったコードの固まり(=スパゲッティコード)ができてしまい、機能追加どころかバグの修正もままならなくなってしまう。

上記は、Software is Beautiful 第4回 オブジェクト指向の本質 ─ WEB+DB Press Vol.59(Webサイト)より。

【スパゲティ】「スパゲティコード」という言葉があります。 最近はあまり聞かなくなりましたが、要するに、コードが複雑に絡み合っていて、追いかけることができない(メンテナンスができない)コードのことを示しています。 構造化設計や、オブジェクト指向設計という概念が定着する以前は、このようなメンテナンスのできないコードは多かったようです。 最近は、構造化設計やオブジェクト指向の概念が定着してきたため、「スパゲティなコード」は見かけなくなりました。 (オブジェクト指向言語を使えば必ずしもスパゲッティなコードから離れられるとは限りませんが。)

上記は、実践プログラミング講座 コードデザイン最前線 Vol.9 データ指向 ─ Software Design 2003 Jan より。

【スパゲッティプログラム】[言語][俗語]
解読不能なプログラム。フォークに絡めたスパゲッティのように、プログラムのジャンプ命令が複雑に入り組んでいるところから名付けられた。

上記は、標準パソコン用語辞典 最新2004〜2005 秀和システム 2003 ISBN:9784798006185 より。

 直上の引用文の通り、かつてに比べると「スパゲッティプログラム」とは縁遠い時代になったようです。 「構造化しろ」だの「オブジェクト指向を使え」だの、あらゆる技術的知見が蓄積し、プログラム開発に活かせているのでしょう。

「スパゲッティプログラム」は絶滅したか?

 さて、最近は見なくなった...と言われる「スパゲッティプログラム」。本当に絶滅したのでしょうか。私は決してそうは思いません。

 構造化手法やオブジェクト指向などをわきまえない初学者や見習いプログラマには、活かす知見も何もないはずです。 つまり、そこには現在も「スパゲッティプログラム」を生む可能性が潜んでいるのです。 現に、私が修学サポーター業務(学部生への指導業務)にあたっている際に目にする、プログラミングを始めたばかりの学生が拵えるプログラムには、main関数しかないものです。 そこで機能の細分化を指南しても、その意味をよく実感できないのでしょう、「動くからこれ(mainだけ)で良いや」とプログラミングの覇道を歩もうとするのです。

 少し規模の大きいプログラムを組むような経験をすれば、構造化の必要性も自ずと理解できるようになるのでしょうが、 プログラミング初学者が最初から大きなプログラムの開発を行うはずもありません。 プログラミングの素養を付けるという意味で、構造化の意義を理解してもらいたいことに変わりありませんが、 難しい理屈を難しい言葉でいくらこねくり回したとて、初学者の頭には入りませんし、印象の欠片にもなりません。

 そこで本研究を活かしたいのです。言葉や文字で理解してもらうのではなく、感覚で理解してもらうのです。 人によって好き嫌いの激しい言語的・数学的センスではなく、もっと普遍的な「食」に関するセンスがあれば充分です。 「あなたのプログラムは、こんなに酷いスパゲッティになりますよ!!」と、最高に絡みもつれるスパゲッティを一皿出せば、どれだけ説得力があるでしょう。

【補足】現代のgoto文

 ちなみに、goto文はその姿をbreak文やcontinue文に変貌させて、未だに用いられています。 また、サブルーチンから処理を戻すときに用いるreturn文も、goto文の一種といえるでしょう。 大切なのは、goto文(並びにそれに準ずる文)を使わないことでも忌み嫌うことでもありません。 プログラムの構造を蔑ろにしてジャンプするような用い方は避けるべきだ、ということなのです。

【余談】◯◯コード

 ところで、「ラビオリ」「ラザーニャ」というものをご存知でしょうか。これもスパゲッティと同じく、それぞれパスタの一種です。 この2つの言葉を使って、それぞれ「ラビオリコード」「ラザーニャコード」という言葉があることをご存知でしょうか。[9] 実は「スパゲッティコード」と同じようにして、プログラムコードに対する比喩として用いられる言葉なのです。 また、日本の幕の内のようにきちんと仕切られたものを指して「弁当コード」と表現することも。[10]


[9] Spaghetti code # Other related terms - Wikipedia, the free encyclopedia - http://en.wikipedia.org/wiki/Spaghetti_code#Other_related_terms

[10] Refactoring Java spaghetti code into Java bento code - http://yost.com/computers/java/java-spaghetti/