何某日和

「カメラ」のち「ハンダゴテ」ところにより「プログラミング」 ── そんな私“かめきち”のウェブサイト

スパゲッティの作り置き時間に関する実験

実験の概要

 ある日のこと、夜遅く帰宅すると、家族の拵えてくれたスパゲッティが待っていました。作り置いてしばらく時間が経っていて、麺をすくい上げることもままならない状態。 せっかく作ってくれた家族に対して申し訳なく思うと同時に、どれほどの時間までなら食べやすいスパゲッティなのか、少し気になったのです。

 そこで今回の実験を計画しました。スパゲッティを普通にゆで上げ、お皿に移してから一定時間が経過するごとにスパゲッティの様子を観察するものです。 さて、いつ頃から食べにくいスパゲッティと化すのでしょうか。(実験日:2012.08.16-2012.08.17)

実験の方法

 上で既に述べた通り、標準ゆで時間通りにゆで上げたスパゲッティを用いて、一定時間ごとに観察します。 比較のため、ソースをかけないスパゲッティの他に、バジルソース(オイルベース)スパゲッティとミートソース(トマトベース)スパゲッティも用意し、全て並行して様子を観察します。
 実験に用いたパスタはマ・マー 1.6mmで、標準ゆで時間は7分です。また、ゆで上げには塩を用いていません。

実験の必要物 スパゲッティを茹でている様子 本実験で用いるソース
ゆで上がったスパゲッティ ソースを絡めたスパゲッティ(3種類) 2本ずつ取り出して様子を観察

本実験

 実験時の様子を掲載します。横3枚並ぶ写真は左からバジル・ミート・そのままのスパゲッティです。また、各スパゲッティへのコメントは基本的に、実験当時のメモからそのまま抜粋しています。

作り置き 6分

バジル問題なし(さめたけど) 持ち上がる
ミート問題なし(さめたけど) 持ち上がる
そのままちょっとかわいた? 持ち上げるの大変

作り置き 9分

バジル問題なし まだなんとか持ち上がる
ミート問題なし まだなんとか持ち上がる
そのまま口に入れたときの感覚が「パサッ」としている。噛むと普通だけど(中の水分はあるから) 持ち上がらんわ...

作り置き 12分

バジル問題なし まだなんとか持ち上がる
ミート問題なし まだなんとか持ち上がる
そのまま表面のベタつきが尋常ではない。口の中に入れづらい。(噛むと普通) 全体が持ち上がる

作り置き 15分

バジル問題なし まだなんとか持ち上がる
ミート問題なし まだなんとか持ち上がる
そのまま噛んだときも若干水分の足りなさを感じる。

作り置き 30分

バジルほんの少し、麺が異質を示している。コシが感じられない。
ミートまだコシが残る。まだいける。
そのまま乾いてるけど、まだ食べられる範囲

作り置き 45分

バジルちょっともさついてきた。麺も絡みだしてるけど、まだ普通に数本だけ取れる。
ミートまだコシを感じる。まだいける。麺はバジルと同じ。(或いは、もう少し絡んでいる)
そのまま中の水分もやや少なくなってきて、作り置きのパスタっぽい感じ。

作り置き 60分

バジルさっきよりマシになった??(オイルの多いところにあたったか...)
ミートちょっとコシが少なくなったけど、まだいける。もつれやすくはなった。
そのまま(コメント記録忘れ)

休憩

 乾燥させる実験のため温度や湿度も必須情報となります。そこで休憩時間の間に計測器を撮影しておきました。室温24度、湿度70%とのこと。

作り置き 120分

バジルぱさつくものの、未だ水分を保持。麺も取りやすいし、ほぐれるし。
ミートスーパーの安いお弁当に入っているスパゲッティはコレ。まだ食べれる。
そのまま水分を失ったスパゲッティ。表面がザラッとしている。しっけてる。ほぐれるわけがない。

作り置き 180分

バジルコシこそないけど、まだいける。ほぐれてもいる。
ミート120分と変わらず。まだいける。水分量も変わらず。
そのまま輪ゴムに近い印象を受ける。もはや、表面のやわらかさはない。

作り置き 24時間

 まる一日放置してみたスパゲッティは、水分がほとんど飛んでしまい、さすがにどれも酷いものでした。元の透明感が出てきて、まるでゆでる前に戻ったかのよう。 とても食べられそうにありません。。。

バジルオイルは残っていれど、もう水分はどこかへ消えてしまった。おもいっきりパリパリしている。
ミートほとんど水分は飛んでいるけど、まだ若干の柔らかさが残る。
そのまま茹でる前の麺だ...(元に戻ってる!?)見た目も元通り。

余談(元に戻った麺の再加熱)

 24時間置きっ放しにしていたスパゲッティ(ソース無し)は、ゆでる前のスパゲッティに様相が似ていたので、試しにゆで直してみることにしました。 (生地から成形されて乾燥させられて、出荷されて購入されてゆでられて乾燥させられて、またゆでられる... そんなスパゲッティを見て、少し可哀想にも思ったり。。。)

スパゲッティを電子レンジでゆでるためのプラスチック容器がありますが、それを用いて11分間ゆでてみました。

すると、普通のスパゲッティに戻ったではありませんか、アンビリバボー。。。少しゆで過ぎたようですが、モチっとした弾力は少し残っていました。 この後、ナポリタンソースを絡めて美味しくいただきました。(他のバジルソースとミートソースのスパゲッティも全て食べましたので、決して粗末にはしておりません...)

結論

 「パスタの作り置きはタブー」と参考文献のいずれかに記載されていましたが、本当にその通りで、ゆでてすぐに食べなければ、そのスパゲッティが元々持ち合わせていた良さも失われてしまうのです。 しかし、ソースを絡ませておけば、麺からの水分蒸発が抑えられるため、割りと長時間持ち堪えられるようです。
 私が自宅で食したスパゲッティは、ソースが乗せられてはいたものの混ぜられてはおらず、スパゲッティからの水分蒸発を抑えられなかったのでしょう。 ソース無しの場合や私が食したスパゲッティのような場合、作り置きをしてしまうと、あっという間に劣化(水分蒸発)してしまいます。 ソース無しのスパゲッティとバジルソーススパゲッティの変化を見比べればわかるように、オイルやバターを絡ませておく必要があるでしょう。

 また、これはプログラムにも当てはまる特徴と考えられます。 例えば、プログラム中に非推奨とされる機能を多用していて、環境のバージョンが上がると同時に動かなくなってしまう場合などが、この「劣化」に相当します。 つまり、非推奨機能を用いていないプログラムは、劣化しにくいプログラムであり、オイルを絡ませたスパゲッティに写像できますし、 逆に非推奨機能を多用するプログラムは、劣化しやすいプログラムであり、ソース無しのスパゲッティに写像することができましょう。

スパゲッティの作り置き時間は、プログラムの劣化度を表現する指標になり得る。
また、オイルやバターを絡ませるか否かは、プログラムの劣化しやすさ(腐敗性? 永続性?)を示唆する指標になり得る。

 最後になりましたが、この実験に際して、研究室にスパゲッティ臭を充満させてしまったことをお詫び申し上げます...。